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ディストピアとはどのようなモノなのか?

"ディストピア"という言葉は二次創作においてとてもよく出てくる単語だと思う。

この言葉は俗に暗黒郷と訳されることが多い。自分も小説を書いてるからわかるのだがディストピアを舞台にすると話の展開が作りやすくなる。

ではディストピアとはどんなものなのだろうか?まずディストピアには2つの種類があると考えている。"見えているディストピア"と"見えないディストピア"だ。これを一つずつ説明したいと思う。


○見えているディストピアについて
このタイプは外部の人間にも分かりやすく、
視聴者や作中のキャラクターの殆どが自らの世界をディストピアだと認識している。アニメでは"ブラック・ブレッド"の世界観に当たる。

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この作品は特殊能力を持った女の子達がたくさん出てくる。その子達は一般市民から除け者にされ、公共サービスの対象にも外れている。警察などの治安組織にも睨まれている。市民は彼女達を不満の捌け口にすることによって自らの境遇から目をそらしている。その市民達も決して恵まれているわけではなく、ガストレアと呼ばれるモンスターに日々怯えながら不便な暮らしを強いられている。

この作品の世界で人々が抱いている心情を表すのは難しいが、敢えて纏めるとしたら「恐怖と怒り」だと思う。市民はガストレアやイニシエーター(ガストレア因子を持った女の子)に日々恐怖を抱きながら、彼女達を一人の人間として認めようとしている無能の政府に怒りを抱いている。現実では北朝鮮や前のソビエト連邦に当たる。これらの国々は外部の人間からも社会の仕組みが狂っているということが直ぐに分かる事も特徴である。このタイプはアニメ作品にも多く出てくる。社会への不満を分かりやすくする方が視聴者にカタルシスを与えやすくなるからである。



○見えないディストピアについて

このタイプのディストピアは外部の人間に
分かりにくく問題提議されにくい。アニメでは"魔法科高校の劣等生"の世界だと分かりやすいかもしれない

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この世界は魔法が技術として体系化された世界を描いている。要は魔法が現実の世界に応用されている世界ということである。主人公の住む日本は魔法技術立国として世界のトップクラスになっている。

....これだけ聞くととてもいい世界のように見えるかもしれない。それもこのディストピアの特徴である。設定を聞いただけではこの世界の歪みが分かりにくい。

作品中、この世界で魔法を使う人間の事を"魔法師"と呼ぶのだが、魔法師達の間では婚姻統制や選別が当たり前のように行われている。また日本の魔法教育機関の最高学府である魔法科高校の教師に当たる人材が不足しているために、平等な教育機会が与えられていない。また魔法技術の殆どを国の軍(この作品では魔法の殆どが軍事技術として開発されている)ではなくそれぞれの魔法家系が握っているために、軍事技術が共有化されず、汎用性を高めるための研究がおろそかにされている。

しかし何より問題なのは魔法を使う側の人間と使わない側の人間がお互いに争っていることである。作品中、魔法師は軍の要として華々しい活躍をするのだが、作品には魔法師が侮辱を受けるシーンも多々見られる。また魔法師側も普通の人々がどうして不満を持っているかを考えようとせず、デモ参加者に対する武力攻撃を行った。

このタイプのディストピアは「焦りと不安」が主に挙げられる。魔法師と一般市民の間には目に見えない確執が確かにある。イスラム教シーア派とスンニ派同士の争いとにているかもしれない。このディストピアには相手が何を考えているか分からないという不安感と自らの立場を守りたい、守らなければならないという焦りがある。

このタイプは前に比べて不満が表に出にくいために何も知らない人間にはディストピアかどうかの判断が付かない。しかしこのタイプは1度争いに火がついてしまうとどちらかが決定的なダメージを負うまで手がつけられなくなってしまう危険がある。


長くなってしまったが、もしディストピアにならないようにするにはお互いの立場を尊重し、理性を保つ事ではないだろうか?しかし今の人工知能ではそれを実現することは出来ない。結局、最も面倒な部分を解決するには人間としての善意や思いやりが必要なのかもしれない。