上田、デビューするってよ⁉



声優の上田麗奈さんが12月21日にデビューアルバムを出すことが発表された。

そこで今回は上田麗奈さんのインタビューや視聴音源から感じた個人的な事を書きたいと思っている。

 

  • インタビュー【リスアニ!vol27】より

ここのインタビューでは個人的に驚かされることが多かった。まず、音楽誌のインタビューで

    "歌は好きじゃない"

 

と暴露してしまっているのが凄いと感じたのは大きい(歌が得意ではないということは今までにも明言していた)のだが、はっきりと、それもデビューについてのインタビューで語るのは今まで見たことがなかった。

 

──歌うことは、好きですか?

:歌うことは好きじゃないし、歌うこと自体も好きじゃないんです。・・・(略

 

──歌が嫌いというのは、技術的な苦手意識? それとも歌という表現で自分を出すのが苦手?

 

:どっちもです。単純に、好き嫌いとしてもあまり好きじゃないんです。

やはり、歌というのは難しいものなのだというあまりにも当たり前のことを上田さんはきちんと身をもって教えてくれた。しかもそれを律儀にもインタビューで言ってくれた。インタビュアーも内心ビックリしただろうというのは想像に難くない。

 

そして、このデビューアルバムのコンセプトが"今の上田麗奈"という自己紹介の意味も込めたアルバムであるということだ。ここ最近の声優のデビュー目的からは若干外れているのは間違いない。

 

しかも、個人的な思い込みで上田さんは言葉で気持ちを表すのが苦手なように見えていたのたが、今回のアルバムでは作詞も手掛けるということだ。

 

歌は「曲」と「歌詞」の2つがあってはじめて歌として意味をもつ。そのなかでも「歌詞」というのは表現者の意思や、想いを分かりやすくダイレクトに伝えてくれる。作詞をする声優自体はあまり珍しいものではない。

だが、自分自身を表すようなアルバムに対して自らが作詞をするということは、自分のコンプレックスなどを自ら他人に明かしていくということだ。これを22歳の人が行うというのだから全く世の中は分からない。羞恥心を隠さずにありのままを出そうとしてくれる人には尊敬の念しか感じ得ない。

 

それともう一つ、個人的に注目して貰いたいのは上田さんのインタビューに登場する

「・・・・・・」

の多さである。

その数なんと8回

リスアニに登場する他のゲストのインタビューの「・・・・・・」の平均が3回程度

なのでいかに多いかが分かるだろう。

通常、この"・・・・・・"は何通りか使い方はあるが、

前にある場合は「長い間の沈黙」

後にある場合は「言葉に詰まる」

ときの表現で表されるのだが、上田さんの場合は後ろにあることが多いことがわかる。

 

これを見ると、やはり一年もデビューを悩んだという上田さんの話にも納得が出来る。

本人の中でも「歌デビュー=アイドル」というイメージが漠然とあったのだろう。それでもあくまで自分の声優としてのスキルアップが一番だと割りきったという答えが、

一部の

「声優は演技のみに集中するべきだ」

と主張する人々に対しての上田さんなりの答えとして堂々と述べているのは、これからの声優の役割の一つの指針になるのではないかと個人的に注目している。

 

  • デビューアルバム「reflain」"海の駅"より

 この動画の時間は4分21秒である。白を基調としたPVとピアノの低音、上田さんの地声から少し高めのウィスパーボイスが綺麗なハーモニーを醸し出している。

 

この歌のコンセプトが"仕事を続けていきたい"という決意の歌なのだそうだ。

 

ところでこのPVを何回も見返しているうちに、自分のなかで見方の変化が起きるようになった。

最初にこのPVを見たときは只単純に、

『白い清浄の世界で歌っている上田麗奈

という見方をしていた。だがだんだん

『閉じられた世界で歌っている上田麗奈

という思いが沸き上がってきたのだ。

絵で説明するとこんな感じだろうか?

 
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(左が今までの見方、右が新しい見方)

最大の特徴は、世界との間に"壁"があることである。また、続く線路も壁によって断絶されている。どうして個人的にこんな想いを抱いたのかと言えば、歌詞の影響が大きい。

 

そしてもう一つ、またPVでの白を基調とした世界、これも偽物ではないかとの疑惑を持っている。それについては主にPVの演出からである。PVの途中で黒い翼のようなものが映える演出があるのだが、その後に一瞬の間だけ、背景が灰色になる場面がある。それこそが上田さんの白い世界のさらに内側にある内面なのではないだろうか。ではこの白い世界はなんなのか?

答えは単純明快、

"周りの上田麗奈に対するイメージ"

に他ならない。詰まるところ、この歌は

"周りのイメージに閉じ込められた上田麗奈

断絶されている壁の中で必死に自分の存在を証明している"

という一つの見方が出来るのだ。

 

この歌がアルバムのリード曲だが、自分を知ってもらいたいという思いはひしひしと感じたし、声優という答えのない表現者としての本人なりの思いもしっかりと感じ取れる。

 

最後に、アルバムは2500円程だそうだが、アルバムを喩え買うことができなくてもインタビューからだけでも本人の役者としての思いは伝わるのではないだろうか?

(追記:前の記事で上田麗奈さんにはこのような役をしてもらいたいという個人的な願望を押し付けてしまったのは反省しています。自分は役者としての可能性を狭めるようなことをいってしまいました。本当にお恥ずかしい限りです)

(上田さんの歌がどの程度かの参考に)

 

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